初めに
今回はタイトルにもある通り、オフシーズンの主要な選手の動向について見ていきたいと思います。
オフシーズンもしっかりNFLを追っていたから知ってるという方もいると思いますが、シーズン中しかNFLを見ないという方も多いと思われます。そのような方に向けて、「なんでこの選手がこのチームにいるの!!?」と混乱しないように事前におさらいできればと思います。
また、もう知っているという人も今期は様々なビッグトレードがあったため、一度整理する機会に充ててもらうと良いかと思います。
超激戦区のAFC西地区
毎年激戦区であるAFC東地区ですが、今年はNFLのトップ選手がこの地区に集中しリーグ1の激戦区となってしまいました。
Las Vegas Raiders
まず、レイダースにはパッカーズからエースWR Devante Adamsが移籍してきました。
パッカーズでは長年QB Aaron Rodgersと共にNFCを荒らしていましたが、Adamsのサラリーがチームを圧迫した点、レギュラーシーズン中にAdamsがいなくても勝てた試合があったことから、移籍ということになりました。また、ディフェンスでもベテランDE Chandler Jonesがカーディナルスから移籍してきました。これにより今年はDE Maxx Crosbyと二枚看板という形になります。
レイダースには優秀だが未だプレーオフでの勝ち星がないエースQB Derek Carrがおり、他にもHunter RenfrowやDarren Wallerと言った優秀なレシーバー陣がそろっていますので、どのようなオフェンスを見せてくれるのか非常に楽しみなチームです。
Los Angels Chargers
チャージャースにはベアーズからLB Khalil Mack、ペイトリオッツからCB J.C.Jacksonが加入しました。昨季のチャージャースと言えば、レイダースとの最終節でOTにまで至る死闘を繰り広げ、奇しくも負けプレーオフを逃しました。しかし、その前年と比べて2年目QB Justin Herbertがしっかり成長したと言え、次につながるシーズンだったと言えます。
さて、今季のチャージャースですが、ハイパーオフェンスのチーフス、補強により侮れなくなったレイダースやブロンコスに対抗すべく、ディフェンスを固めようという意思の見える補強でした。元々、チャージャースにはDE Joey BosaやS Derwin Jamesと言ったスター選手もおり、今回の補強でかなり確固たるディフェンスとなりました。また、オフェンスにはQB Justin Herbertを筆頭にWR Keenum Allen、WR Mike Williams、RB Austin Ekelerなどの選手が去年に引き続き出場するため、攻守ともに楽しみなチームであります。同地区の戦いに競り勝つことが出来れば、プレーオフはおろか、十分にスーパーボウルを狙っていけるとチームだと思います。
Denver Broncos
ブロンコスはレジェンドQB Peyton Manningの引退以降、QB不足に悩まされ目立った結果を残せずにいました。しかし、今年ベテランQB Russell Wilsonが加入し、その問題に終止符を打つのではと期待しています。レシーブ陣にはWR Courtland SuttonやWR Jerry Juddyがおり、RBにもJavonte Williamsがいるのでオフェンスは問題なく機能しそうな感じがします。
ディフェンスは大きくメンツが変わったということはありませんが去年はリーグ3位の成績を残しているため、去年と同様のクオリティが保てていれば、オフェンスが良くなっていることもありプレーオフを狙っていけるチームになったと思います。
Kansas City Chiefs
今年はスティーラーズからWR Juju Smith Schuster、パッカーズからWR Marquez Valdes-Scantling(MVSと略されることが多い)を獲得しましたが、Tyreek Hillがドルフィンズに移籍したためその代償を埋められているかどうかには疑問が残ります。また、ディフェンスでもS Tyrann Mathieuがセインツに移籍し、全体的に弱体化したと言っても過言ではないでしょう。
昨年はチャンピオンシップまで進出するもベンガルズに敗れてしまいました。また、レギュラーシーズンはその結果と裏腹にかなり苦戦していた印象があります。QB Mahomesのオフェンスがかなり対策され一回もTDが取れずに負けるという試合すらありました。ですが、流石の名将Andy Reid、後半にはすっかり持ち直し、チャンピオンシップにコマを進めました。
今年も去年のように対策されてしまうのか、Hill、Mathieuの抜けた穴を埋められずに負けてしまうのか、はたまたMahomeがまたスーパーボウルの舞台に返り咲くのか、今年のチーフスも楽しみです。
昨年最下位の2チームは今年こそプレーオフに行けるのか??
Jacksonville Jaguars
昨年最下位のジャガーズですが、どのような補強をしたのでしょうか、そして今年こそ最下位を脱出できるのか…
結論としては、最下位は脱出できるがプレーオフは難しいというのが予想になります。
補強としてはカーディナルスからWR Christian Kirk、ジャイアンツからWR Evan Engramを獲得し、ドラ1QB Trevor Lawrenceに武器を与える補強となりました。元々、WR Marvin Jones jr、RB James Robinson、そして去年の一巡RB Travis Etienneなど、タレントはそこそこいましたので補強によって割と盤石なスキルズ陣となりました。このメンツで勝ち切れるかどうか、2年目のLawrenceにとっては勝負の年になりそうです。
ディフェンスでは、ラムズからCB Darious Williamsが移籍となりました。ラムズではRamseyの逆サイドを守っており、Ramseyが欠場時はカーディナルス戦であのWR Hopkinsとマッチアップし、良い勝負をしていました。また、今年のドラフトではドラ1DE Trevon Walkerを獲得し、この選手にも期待が集まります。
同地区に強豪タイタンズとコルツがいるため、プレーオフ出場は難しいと思いますが、去年と比べて大番狂わせは十分にできるくらいの戦力は集まったかと思います。
Detroit Lions
続きまして、去年3勝で勝ち数で見るとジャガーズと同率の最下位のライオンズです。
オフシーズンの目立った補強としては、ジャガーズから獲得したWR DJ Charkのみで少し少なく感じます。とはいえ、ドラフト1巡目でWR Jameson Williamsを獲得し、元々WR Amon-Ra St.Brown、TE T.J.Hockensonがおり、かなり盤石なパスユニットとなりました。RBにはJamaal WilliamsとD’Andre Swiftがおり、RBも心配はなさそうです。Brownは去年初勝利となったバイキングス戦で決勝TDを取り、ルーキーながら安定感のあるプレーをしていました。戦力がある程度集まった今年、どれだけ活躍できるか、個人的に注目のWRの一人です。
ディフェンスではドラフトで今年一番と評価されるDE Aiden Hutchinsonを獲得し、NFLでどれだけ暴れてくれるか期待が高まります。
QBが去年と同じJared Goffであり、その点が少々不安ではありますが、去年と比べるとジャガーズと同じように大番狂わせを起こせるくらいの戦力は集まったのかなという感想です。
ビッグトレードに注目のチーム
Miami Dolphins
ドルフィンズはチーフスのエースWR Tyreek Hillを獲得するビッグトレードを行いました。このトレードは、HillなしでMahomesは大丈夫なのか、またTuaがHillを使いこなせるのか等大きな物議を醸しました。
昨年度は7連敗の状態から7連勝しプレーオフ争いに参加するという、理解し難いシーズンを送りました。QBも安定しておらず、Tuaが出てきたり控えのBrissettが出てきたりとよく9勝8敗でシーズンを終えることが出来たなという結果でした。昨年度はルーキーのWR Jaylen Waddleが1000ヤード超え、4年目TE Mike Gesickiが700ヤード超えと若手が頑張ってくれたという感じでした。
このユニットにHill、そしてカウボーイズからWR Cedrick Wilson、カーディナルスからRB Chase Edmondsが加わり、なかなかやってくれそうなオフェンスとなりました。
同地区には強豪ビルズがいますが、ジェッツ、ペイトリオッツは大したことがないので、今年もプレーオフ争いには食い込んでくるのではないかと思います。ドルフィンズは、2年目Waddleがどれだけやれるか、TuaとHillのコンビがどれだけ暴れてくれるか、ここが見どころになると思います。
Indianapolis Colts
コルツにはオフシーズンで2つのビッグトレードがありました。まずファルコンズからQB Matt Ryanです。コルツもAndrew Luckが引退してからQBが安定していないチームで、やっとフランチャイズを飾れそうなQBを獲得できたという印象です。また、Matt Ryanも優秀なQBなのに関わらずスーパーボウルを制覇できていないQBの一人で、ラムズのStaffordと同様に新天地でリングを掴んでほしいと思います。
そんなコルツの戦力状況ですが、地区優勝を余裕で狙っていけるレベルであると思います。まず去年あのHenryを凌いだ、JTことRB Jonathan Taylor、2年目で1000ヤードを達成したWR Michael Pittman Jr.、そしてベテランWRのT.Y. Hiltonがいます。TEに有名選手がおらず、WRも層が薄いことが懸念点ではありますが、あのMatt Ryanですので何とかなるのではないかと思います(笑)
もう一つのビッグトレードはディフェンスで、パンサーズからCB Stephon Gilmoreがやってきました。この選手は最近NFLを見始めた人は知らないかもしれませんが、2019年にディフェンスの最優秀選手賞を獲得したスター選手です。そして、逆サイドを守るのはかつてオールプロ受賞経験のあるCB Xavier Rhodesとなり、このコンビはリーグ最高峰とも言えるのではないかと思います。また、他にもオールプロ経験のある選手が二人おり、DLのDeforest BucknerとLBのDarious Leonardがいます。
DL、LB、DBにそれぞれオールプロの選手がいるという豪華なディフェンスで、今年はかなり攻守のバランスが取れているので、プレーオフだけでなくスーパーボウルまで行っても全然おかしくはないと思います。
Los Angels Rams
昨年度全米王者となったラムズですが、ビッグトレードが2つありました。
まずオフェンスではベアーズからエースWR Allen Robinsonを獲得しました。昨年度はシーズン途中でRobert Woodsが離脱し、WR不足で大丈夫か?という状況でしたが、それでもCooper Kuppが無双してスーパーボウル制覇まで行ってしまいました。今年はWoodsがタイタンズに移籍となってしまいましたが、それでもCooper KuppにAllen Robinsonって止まる未来が見えません。そこにもしかしたらOBJも入ってくるかもと考えると、想像するだけで脳汁が止まりませんね。
とはいえ、全体的に見るとオフェンスは弱体化してしまいました。というのも、OLの層が心配ということです。レジェンドOL Andrew Whitworthは流石に昨シーズンで引退、ドラフトで指名した有望株のOL Logan BrussもACL断裂と今年はOLが心配でなりません。ラムズはスキルズが優秀で勝ったという印象があるかもしれませんが、実はOLがリーグトップレベルでしたのでOLが万全じゃない状態で結果を残せるかどうか、正念場となります。
2つ目のビッグトレードはディフェンスで、シーホークスから化け物LB Bobby Wagnerを獲得しました。この選手は最近はチームに恵まれていませんでしたが、あのリージョンオブブームの時のLBです。(Legion of boomって実は10年も前のことらしいです、、、)
DLにAaron Donard、LBにBobby Wagner、DBにJalen Ramseyと対戦相手からしたらたまったもんじゃないですね。とはいえ、ディフェンス全体で見ると弱体化しているような気もします。なんといっても去年の一番の強みはVon MillerとDonardのプレッシャーでしたので、今年はVon MillerがおらずDonard一人で大丈夫かと不安ではあります。また、CB Darious Williamsがジャガーズに移籍してしまったのも非常に痛いです。Ramseyの逆サイドは経験の少ない若手が務めることとなり非常に不安です。
今年もスーパーボウル候補ではありますが、ファンとしても悲願の2連覇を達成してほしいと思います。目指すはMcVay Kingdomですね。
その他注目の補強
Buffalo Bills
今年のスーパーボウル有力候補であるビルズは、前回王者のラムズからDE Von Millerを獲得しました。今年で33歳にも関わらず6年という長期契約をしたことで話題となりました。
近年のビルズは死角がないほど強いという印象です。去年は僅差でチーフスに負けてしまいましたが、そこに全く実力差はなく、仮にビルズ対ベンガルズのチャンピオンシップならビルズの方が優勢だったのではと感じます。
QBのJosh Allenは強肩ながら走ることもでき、去年はパスで4400ヤード、36TDを獲得しつつ、ランでQBの中で3位の760ヤード獲得というかなりチート級のQBです。そんなQBを支えるのは、エースWR Stephon Diggs、 TE Dawson Knox、RB Devin Singletary、そして今年の注目株であるWR Gabriel Davisです。このDavisはプレーオフのチーフス戦で201ヤード、4TDというただならぬ活躍をして話題となったWRです。また、今年はドラフトであのDalvin Cookの弟、James Cookを獲得したことも注目されています。
ただ、そんなビルズの強みはオフェンスではなく、昨年リーグ1位のディフェンスです。ディフェンスの注目選手は何と言っても、Micah HydeとJordan Poyerの2人のSです。昨年リーグ1位のディフェンスにあのVon Millerが加わるのですから弱いわけがないです…
今年ももちろん文句なしのスーパーボウル候補となります。正直、強すぎるので筆者はあまり好きじゃないです、このチーム(笑)
Tennessee Titans
前回地区優勝を果たしたタイタンズは、ラムズからWR Robert Woodsを獲得しました。しかし、去年のエースWR A.J. Brownはイーグルスへ、Julio Jonesはバッカニアーズへ移籍となってしまったため、その穴を埋められるかと言うと疑問が残ります。
とはいえ、ディフェンスはかなり優秀です。昨年度のディフェンスランキングでは6位につけており、DLにJeffery Simmons、LBにHarold Landry、SにKevin Byardと各ポジションにタレントがいるというのが特徴です。オフェンスは確実に弱体化してますので、ディフェンスが踏ん張れるかというところに注目となりそうです。
Philadelphia Eagles
イーグルスの注目の動向はWR A.J. BrownとOLB Haason Reddickの加入です。
オフェンスはBrownの加入でかなり安定したパスユニットとなりました。ほかにWR Devonte Smith、TE Dallas Goedert、RB Miles Sanders等タレントはかなりそろっている印象です。
後は評価がイマイチなQB Jalen Hartsがどれだけやれるかというところになりそうです。個人的には評価はイマイチでもどこか持ってるQBだと感じるので今年も注目していきたいです。
ディフェンスはReddickの加入でパスラッシュに磨きがかかりました。知らない人も多いかもしれませんが、Reddickは直近の2年連続で2ケタサックを記録している、かなり優秀なパスラッシャーです。他にイーグルスのDL陣にはFletcher CoxやBrandon Grahamと言ったタレントが揃っていますので、今年のイーグルスのフロントはかなり厄介なのではないかと感じます。
さて今年の展望ですが、近年地区優勝を独占しているカウボーイズはCooperとWilsonという有力なWRが抜け、去年ほどの脅威ではない印象なので、今年こそ地区優勝を狙っていけるのではと思います。
Cleveland Browns
QB問題で話題の尽きないブラウンズですが、なんとBaker Mayfieldをパンサーズへ放出し、テキサンズのDeshaun Watsonを獲得しました。確かにMayfieldは年々パフォーマンスが低下している印象でしたが、昨年出場しておらず出場停止ペナルティのあるWatsonをわざわざ獲得し、チームを18年ぶりのプレーオフに導いた救世主を無下に扱ったというところに批判が集まりました。
そして、WRではJarvis Landryがセインツに移籍し、カウボーイズのAmeri Cooperが加入となりました。他のオフェンス陣やディフェンス陣にはあまり変化はありませんが、Watsonが11試合出場停止ということでプレーオフはかなり絶望的と言え、来年に期待するしかないと感じます。
最後に
ここまで、大きな動向のあったチームを今年の展望と共に13チーム紹介しました。
書いているうちに書きたいことが出てきて、8000字を超える長い記事になってしまったことにはお詫びしたいと思います。
推しチームを決めたいけど、決まらないという人はこれを参考にしてもらえると良いかなと思います。
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