はじめに
こんにちは。
前回に引き続き、今回はスーパーボウル進出チームである49ersの特集をしていきます。
近年NFCでは覇権的な活躍っぷりである49ersが、今年どんなシーズンを送ってきたのか振り返っていきます。ぜひ最後までご覧ください。
※前回はこちらです。
これまでのSan Francisco 49ers
実は4年ぶりのスーパーボウル
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上の画像は現在のHC Kyle Shanahanが49ersに赴任後のチームの成績をまとめたものです。
現在でこそ手の付けられない超強豪チームというイメージですが、赴任当初は苦戦を強いられました。
最初の2年はQBに悩まされ、Jimmy Garoppoloを獲得したものの、怪我で殆ど試合に出られず負け越しシーズンを経験しました。
しかし、2019年シーズンを含めた3年間のドラフトで今の49ersの大黒柱となる選手を何人もピックでき、そこから現在の超強豪チームへと進化を遂げました。
ドラフトについてもう少し詳しく触れると、2017年にはTE George Kittle、2018年にはLB Fred Warner、2019年にはDE Nick Bosa、WR Deebo Samuel、LB Dre Greenlawを獲得しており、どの選手もチームのエース級選手へと成長しました。
エース格選手が集った2019年シーズンは破竹の勢いで勝利を重ね、一気にスーパーボウルまで駆け上がりました。
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当時の49ersにとって7年ぶりのスーパーボウル出場で、Steve Young以来25年ぶりの優勝が懸かっていました。
序盤は49ersが優勢に試合を進め、第4Q残り3分程まで勝っていましたが、Mahomes率いるチーフスにリードを保つことが出来ず逆転負け。ファンの方なら25年ぶりの優勝が目前まで来ていたため、非常に悔しい思いをしたことだと思います。
その後の49ersは意外にもプレーオフで苦戦を強いられ、今年やっと4年ぶりに大舞台へと帰ってきました。しかし、その相手は奇しくもチーフス。運命のいたずらでしょうか、対戦相手はなんと4年前に恥辱を味わったチームでした。
さて、チーフス相手に4年前の雪辱を果たして29年ぶりの優勝を掲げることが出来るのか、それとも2連敗で面目を潰されてしまうのか、注目が集まります。
「百花繚乱」
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今年の49ersを一言で表すなら「百花繚乱」でしょうか。
どのポジションにもタレントが揃っており、それが合わさって群雄割拠たるNFCを1位で勝ち抜いてきました。
そんな49ersですが、シーズンを通して好調というわけではありませんでした。Week6からの3連敗はファンに相当な心配を与えたことでしょう。
しかし、そんな心配事は杞憂に過ぎず、バイウィーク明けには6連勝で復調を示しました。
途中QB Brock Purdyの脳震盪疑いなどの問題はありましたが、チームのほぼ全員が大きな怪我無くレギュラーシーズンを終えれたので良かったです。
プレーオフの49ers
対戦相手のチーフスが上り調子で勝ち進んだとするならば、49ersは辛うじて勝ってきたという印象です。
まずは初戦のパッカーズ戦。選手層だけで見ると圧倒的に格下の相手でしたが、立ち上がりから終始パッカーズが優勢。これまで強みであったランディフェンスが崩壊気味でAaron Jonesが100yds超えの爆走。これにより勢いが付いたパッカーズは、Jordan Loveのパスがリズムよく決まり、49ersはなすすべなしという感じでした。
しかし、パッカーズはQBのJordan Loveを筆頭に若手中心のチーム。試合終盤でターンオーバーやFGのミスなどが重なり、それを着実に得点に繋げた49ersが逆転勝利を収めました。この試合は首の皮一枚つながったという印象で、選手層とは裏腹に脆さを露呈しました。
続いて、スーパーボウル進出が懸かるNFCチャンピオンシップの相手はライオンズ。万年最弱チームというイメージを払拭したシーズンとなったライオンズは、オフェンスにタレントが揃っており、勢いに乗れば止められないチーム。前節同様に49ersは立ち上がりからライオンズにリードを取られ、その点差は最大で21点まで広がりました。
しかし、ライオンズは試合の早期決着を望み計2回のギャンブルを試みましたがいずれも失敗。さらにターンオーバーも絡んで後半は49ersにモメンタムが移ります。相手のミスは見逃さない49ersは、そのまま一気に得点し21点差を逆転。ライオンズがギャンブルせずFGを選択していれば逃げ切られていたかもしれないと思うと、これも紙一重の勝利となりました。
このようにチーフスに比べると決して好調とは言えない状況です。
”Mr.Relevant”
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そんな49ersを率いるのは、”Mr.Relevant”の異名を持つ2年目QB Brock Purdyです。
まずはスタッツをご覧ください。
〇Brock Purdy
4280yds(5位)、31TD(3位)、11INT、Rate113.0(1位)
〇Patrick Mahomes
4183yds(6位)、27TD(8位)、14INT、Rate92.6(14位)
スタッツはあのPatrick Mahomesをも凌駕しており、そりゃ49ersは強い訳だと納得のスタッツですが、そもそもBrock Purdyって誰だよって思う人もいると思います。
それもそのはずで、ドラフト1巡レベルのスタッツを残しておきながら、実は2022年ドラフトにて7巡全体262位というNFLドラフトの最終ピックで指名された選手なのです。
ドラフト最終ピックで特に期待もされずに49ersに入団した訳ですが、スーパーボウルにチームを導くQBになると誰が予想したでしょうか。そんなシンデレラストーリーとも言えるキャリアを過ごしているPurdyは今シーズンを有終の美で終われるのか、注目が集まります。
ちなみにドラフト最終ピックの選手を”Mr.Irrelevant”(NFLとは無縁な選手)と称するようですが、そんな偏見を払拭するような活躍でむしろ”Mr.Relevant”と呼ばれているようです。
「いともたやすく行われるえげつない攻撃」
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全ポジションにタレントを揃えている、弱点の無い破壊的で理不尽なオフェンスはまさに、「Dirty deeds done dirt cheap(いともたやすく行われるえげつない行為)」。ジョジョ7部のボスのスタンド、「D4C」を彷彿とさせます。そしてこのコーナーではその全貌を明らかにしていきます。
理不尽パスユニット
QB Brock Purdyを中心に、WR Deebo Samuel、Brandon Aiyuk、Jauan JenningsのトリオとTE George Kittleからなるパスユニットは、非常に隙の無い凶悪なユニットに仕上がっています。どの選手もリーグトップクラスのキャッチ能力とキャリー能力を持ち、フィールドのどこからでもTDを狙えるこのユニットは理不尽そのものです。
〇Brandon Aiyuk
1342yds(7位)、7TD、YBC 960yds(3位)、Y/R 17.9yds(2位)
〇Deebo Samuel
レシーブ 892yds、7TD、YAC 527yds(12位)、YAC/R 8.8yds(WR1位)
ラン 225yds、5TD(計1117yds、12TD)
〇George Kittle
1020yds(TE1位)、6TD
Brandon AiyukはYBC(キャッチ後に稼いだヤードを含まない純粋なパスヤード)とY/R(1回のレシーブごとに獲得したヤード)が高水準で、ここからミドルレンジ以上のパスレシーブが強みの選手と分かります。実際に出場している約半分の試合で30yds超えのロングパスを成功させています。
スラントのようなショートパスから、縦のロングパス、そして15ydsほどのカムバックも軽々と決めてくるため、Aiyukがいる限りどのシチュエーションでも気が抜けません。
※↓2023シーズンのハイライト
Deebo Samuelは本当に変態的なWRで、レシーブもランも器用にこなす二刀流の選手です。何と言ってもSamuelの強みは圧倒的なフィジカル、身体能力にあります。2年前のJalen Ramseyとのマッチアップで、Ramseyの超ハードタックルを受けながらもびくともしなかった件でラムズファンは戦々恐々としたはずです。
※↓問題の映像
下のハイライトはジャイアンツを文字通り一人で蹂躙している動画ですが、並みのDB一人では止められないフィジカルが強みで、これを武器に変態的なキャリーを見せてくれます。個人的には49ersの中で一番好きな選手で、ラムズファンとして49ersは嫌いですがSamuelだけは頑張ってほしいです。
上記二人だけでも十分驚異的なのですが、49ersオフェンスをさらに理不尽にしているのはTE George Kittleの存在です。
しっかりサイズのあるTEのくせにスピードもあり、今シーズンはTEで唯一の1000yds超えを達成しました。持ち前のフィジカルとスピードでミスマッチを量産し、JAX戦では66ydsの独走TDを決めています。TEだからと気を抜いてはいけないパスターゲットの一人です。
また、Kittleはブロッキング能力にも強みを持っており、OLにも引けを取りません。ブロックもできてレシーブもできてキャリーもできるという、このチート級の選手に要注意です。
全知全能の神
そして、49ersをさらに凶悪たらしめるのはこのランユニットです。
RB Christian McCaffrey(以下CMC)は今シーズンOPOYを受賞したトップオブトップオブトップオブトッププレイヤーで、ランでもパスでもレシーブでも活躍し、もはや”全知全能の神”と言っても過言ではないです。
〇Christian McCaffrey
ラン 1459yds(1位)、14TD
レシーブ 564yds、7TD
計 2023yds(1位)、21TD(1位)
2023年シーズンだけに2023yds獲得と、洒落たことまでしちゃって完全にNFLを舐め切っていますが、ランでもTD数でもリーグトップの成績を残しています。
CMCの強みはスピードとワンタックルでは倒れないフィジカルの強さで、これを武器に様々なチームを蹂躙してきました。また、チームもCMCを深く信頼しているため339回(リーグ1位)ボールに触れさせており、如何にCMCをプレーに絡ませるかという意図もくみ取れます。
さらに、レシーブからのキャリーもCMCのキャリーで、スクリーンだけでなくチェックダウンやスウィングからもロングゲインに繋げてきます。また、ダブルパスのパサーも務めており、まさに全知全能です。
CMCはパンサーズ時代に孤軍奮闘しつつもチームとして良い結果は得られず、そんな選手がチームを変えてスーパーボウルまで進んでこれたことに、少し報われたような気持ちもあります。
ディフェンスも高水準
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オフェンスもタレント揃いでしたが、ディフェンスも超豪華なメンバーが揃っており、ディフェンスランク3位も納得のメンバーです。
注目の選手は下にまとめました。
総失点 298点(3位)、ラン 1525yds(3位)、パス 3642yds(19位)
〇DL
・Nick Bosa
・Arik Armstead
・Javon Hargrave
〇LB
・Fred Warner
・Dre Greenlaw
〇DB
・Charvarius Ward(CB)
特に強力なDL、LB陣を中心としたランディフェンスと、通されても得点には繋げない粘り強いディフェンスが強みです。しかし、この高水準なディフェンスの中だとパスディフェンスの脆さは気になります。チーフスはパスオフェンスが強みですのでこの辺がどうなるかが肝となりそうです。
とはいえ、名前を聞くだけで頼りがいのあるビッグネーム揃いのディフェンス。ぜひ我が家でセキュリティとして雇いたい…
唯一の弱点
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超豪華なメンバー揃いで完全無欠の49ersという印象ですが、実は一つ明確な欠点があります。
それはKのJake Moodyです。
名門ミシガン大出身のルーキーKですが、今シーズンの成績は決して良いとは言えません。
〇Jake Moody
・レギュラーシーズン
FG 84.0%(21/25、30~39を1回、40~49を2回、50~を1回ミス)、PAT 98.4%
・プレーオフ
FG 60.0%(3/5、40~49を2回ミス)、PAT 100.0%
レギュラーシーズンの5敗のうち3敗はMoodyのキックに責任があると言えますし、プレーオフでははっきりと分かる程に成績が低下しました。
キックに不安がある上、大きな重圧がかかる大舞台。ルーキーにとっては非常にタフなシチュエーションで、唯一にしてかなり大きな弱点になるのではと見ています。
最後に
チーフスは「人手不足」、49ersは「百花繚乱」と評しましたが、相対する言葉に見えて、各チームがそれぞれのやり方で攻守隙の無いリーグ最高のチームを作り上げました。
タレント面では明らかに49ersが上だと思いますが、チーフスにはリーグ最高QB Patrick Mahomesが居ますからね。どちらが勝つのか非常に楽しみです。
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